蜘蛛の巣の写真集

ハレの日のケ、ケの日のハレ

この世界の片隅に

2016.11.25

この世界の片隅に
感想書こうとするといろんな場面がパッと浮かんで、私が語らなくてもなぁ…という気持ちになる。でも書く。ネタバレ無し(のハズ)。
戦前の広島の街の建物がカッコイイ。おめかしした人々が街を行き交う。レトロ萌える。めちゃくちゃ史実に基づいてるらしい。戦後で言う平和祈念公園のあたり。
実験的なアニメーション表現。主人公の感覚や感情が生々しく雪崩れ込んで来る。絵を描くことが好きな主人公の手の動きを通した描くということの疑似体験に心震える。
この世界の片隅に”は、戦前と、いつのまにか戦中になって戦争という日常…ご近所づきあい、裁縫、炊事、お勉強…を生き、戦争が終わるまでの話だ。戦争の話だけれど“正しい私”モードにならずにいつもの自分で観た。変なところで涙が出る。んで普通に笑う。戦争の恐ろしさ、繰り返してはいけない、みたいなことは意識にのぼって来なくて、健康な心と体と人間関係、日々を生きることを思った。
映画のあとに読んだインタビューによると、原作者は作品に“思想”を登場させないことに努めたという。
おなじ戦争アニメの“蛍の墓”は幼少期の体験を基にした小説が原作で当然そのことによるリアリティがある。“この世界の片隅に”は原作の漫画家もアニメ監督も戦後生まれで、戦後の気配すら微かにしか知らないかもしれない世代だ。でもそのことによるリアリティというのがあるのだと感じた。当事者でないことによるリアリティは絵本『希望の牧場』でも感じたことだった。
観た直後は「いやー」「あうあー」しか言えなかったんだけどなんとか記録。以上。
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