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蜘蛛の巣の写真集

ハレの日のケ、ケの日のハレ

女の裸

友達と都内の温泉に行った。スーパー銭湯の類いでリニューアル中で新しく、岩盤浴やスパや食事処も充実していた。
ティーン、が友達同士で来ている。あんまり見ては嫌な気持ちにさせてしまう、でもお尻の形の違いを目が追ってしまう。ぷりっときゅっとツヤツヤしていて、綺麗な裸って良いなと思う。
脚湯では、姿勢も顔立ちもこけしみたいなご婦人が満ち足りた様子で朗らかに話している。色黒で筋肉質なご婦人がサウナで挑むようにカッサプレートで肉を削いでいる。色んな裸の中で裸でいると、裸に美醜も何もないなとも思う。
水分補給やベンチ休憩を挟んですべてのお湯を堪能した。脱衣所に戻って私は髪を乾かして適当に化粧して、ロビーで買ったフルーツ牛乳を友達に見せびらかしながら女たちの身繕いを眺めた。
眼鏡をかけると質感が見えて生々しい。どんな美肌の人も少しの色ムラやシワはあるもので、“生き物”という感じがする。湯気の中では大差なく見えたそれぞれの裸に生活が見える(とか思いながら見てるのキモいよね…)。…鏡の前では手際よく顔が作られていく。下地で均してファンデーションで包んで墨で強めて色で生気を引き出して出来上がり。歌舞伎役者の隈取りと変わらぬ大胆さ、雛人形の色付けのような細やかさである。化粧って、こんなふうに少女を女にするのか、おばさんを女にするっと戻すのか…楽しい。
私は普段カラーメイクを一切しない。ファンデーションを塗る、眉を書く、終わり。化粧が下手なことはコンプレックスな反面、化粧が薄い自分に安心する。化粧で顔が変わってしまうのは怖い。でも違うんだな。変身しない女は美しく老いない。それは化粧している時だけではなくて、不思議と裸でいるときも不機嫌に見える。
さっきのこけしがロビーでフルーツ牛乳を飲んでいる。真っ直ぐな体に似合う軽い素材のノースリーブと、要点を抑えた薄化粧の彼女を見てなるほどねと思う。それは単純に彼女の姿にとても似合っていて、裸の時に感じた満ち足りた空気とも馴染んでいた。よく分からないけどなるほどね、分かったぞと思った。